放棄されたグリーンカードを取り戻す方法

グリーンカードは有効期限までまだ時間があったとしても、6ヶ月以上アメリカに帰って来なかったり、アメリカに生活の基本を置いてない場合(アメリカで税金の申告をしていない、住所がないなど)、グリーンカードは放棄されたとみなされます。

●グリーンカードが取り消される前にできること●
放棄されたとみなされないようにするには、Re-Entry Permitを取っておく必要があります。
これは、理由があってアメリカに滞在し続けるのが困難な場合に、1年間海外に居住し、アメリカに戻らなくてもよいという移民局からの許可となります。

基本的に放棄されたグリーンカードを取り戻すことはできませんが、いくつかの条件を満たしている場合にそれが認められる事はあります。

●グリーンカードが取り消された後にできること●
グリーンカードが放棄されたとみなされた後に、再びグリーンカードを取得するには以下の方法があります。

1.やむを得なかった理由を証明してReturning resident (SB-1)として再取得する
放棄したグリーンカードを取り戻すために満たしていなければならない条件は以下の通りです。
A.アメリカを離れた時に有効なグリーンカードを所持していた
B.アメリカを離れた時にアメリカに戻ってくる予定でいた
C.アメリカを離れた後に、何か特殊な理由(病気など)でアメリカに戻ってくることができなかった
この手続きは日本のアメリカ大使館で行わなければなりません。
かなり特殊な状況ですので、証拠や説明する資料などをきちんと整えた上で申請する必要があります。

2.グリーンカードを再申請する
グリーンカードを初めて獲得した時と同じ方法でもう一度申請をします。
家族メンバー(子供や配偶者)がアメリカ国籍でしたら、ほとんどの場合簡単に取得する事が可能です。

当事務所が提供しているサービス:
1.資料の整理
2.事情を説明する手紙の作成
3.法律と資料・証拠を説明する手紙の作成
4.面接の予約
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6.面接後の入国手続きのお手伝い

オバマ新移民政策 ーアップデート情報6

オバマ大統領の移民政策の裁判の最終判決が本日2016年6月24日、アメリカの最高裁から下されました。

裁判官は8人おり、4対4で意見が分かれたため、過半数の賛成が得られず、残念ながら、最高裁はオバマに対して好結果を出すことができませんでした。

つまり、結果としてはオバマ大統領の敗訴という事になりました。

オバマ大統領は今朝、記者会見を開き、自分の任期内で移民を整理する政策を打ち出すことはもうない事を発表し、移民問題を次の大統領に託すと述べました。

前回の記事はこちら
オバマ新移民政策 ーアップデート情報5

移民申請費用の値上がり

5月4日、移民局は移民サービスの申請費用の値上げについて予定表を発表しました。
この表によれば、移民の申請費用は平均して21%程もあがることになります。

発表された中からいくつか例をあげますと、

I-130(家族関係のグリーンカードの書類)の申請は、現在の$420から$535に、I-485(ビザからグリーンカードに切り替える際の書類)の申請は、現在の$985から$1,140に上がります。

I-129(仕事関係でグリーンカードを申請する際やE-2と労働ビザ申請をする際の書類)提出時には、$325から$425に上がります。

一番あがるのはI-910(グリーンカード保持投資家の会社設立の書類)の申請で、現在の$6,230から$17,795に値上がりとなります。

後はI-526(投資家の最初のグリーンカードの書類)の申請は、$1,500から$3,675と、こちらも大幅に上がる予定のようです。

移民局は申請費用で運営を賄わなければならない部門ですので、一番最後に費用をあげた2010年から、既に6年が経過しているということもあり、費用が値上がりするのも近いだろうと予想されています。

但し、この値上がりは様々な法的な手続きを通らなければ正式にはならないので、現時点では、新しい費用がいつから有効になるのは未定となっています。

以下はFEDERAL REGISTERから抜粋した予定表です。
(https://www.federalregister.gov/articles/2016/05/04/2016-10297/us-citizenship-and-immigration-services-fee-schedule)

immigration benefit request fee1

immigration benefit request fee2

刑事犯罪の初犯で移民法に引っかからないシステム( Diversion)‏

今日はDiversionという刑事システムについて説明します。
刑事犯罪の中で、移民法に引っかかる罪と引っかからない罪があります。

引っかかる罪、つまり強制送還や入国拒否となりえる罪については、こちらで以前にも軽く触れた事があります。

通常は、罪を認めた場合(Guiltyまたは、No contest)、その人が罪を認めたという記録が残されます。
つまり、もしその罪が移民法上で引っかかる罪でしたら、その記録は移民局のデータベースにも現れます。
移民局はそれを元に、その者のビザやGreen Cardを剥奪することができます。
万引きは刑法の中でかなり軽い犯罪(もちろん金額によります)ですが、少額だったとしても移民法に引っかかってしまう犯罪となっています。
よって、例えわずかな罰金を払って終わらせたような簡単なケースだったとしても、そのせいで移民上のステタースをなくすことになります。

しかし、罪を認めたとしても有罪にならないDiversionという仕組みがあります。
但し、初犯のみに適用され、且つ裁判所や検察官に提示されている条件を満たす必要がありますが、認められた場合には不起訴処分(Dismiss)という記録になります。
その場合、犯罪歴は記録に全く残りません。移民局のデータベースでも現れないので、例え移民法上で引っかかる罪であったとしても、ステタースを剥奪されることはありません。

ただ、どんな犯罪にも適用されるかというとそうではなく、カリフォルニアでは、現時点で主に盗みや違法な薬の所持などの罪に使われています。

万引きの初犯の場合によく提示されるDiversionの条件の例です。
1.盗んだ品物の金額を支払うこと
2.一定の時間のボランティア(Community Services)をこなすこと(10~30時間)
3.万引きをやめるクラスを受けること

特にビザを所持されている方は、軽犯罪を起こしてしまった場合でも
慎重に対処し、ステータスを失わないようにお気を付けください。

ドナルド・トランプの間違い

大統領選挙に参加している不動産王のドナルド・トランプ氏(Donald Trump)が先日、彼の移民地位の文書を発表しました。移民はアメリカ人の仕事を横取りして、福祉を乱用し、アメリカ人の賃金を下げているといった話でしたが、彼のキャラクターからこの発言に誰も驚きもしなかった事でしょう。

彼の発表で間違っていた部分を移民政策アナリストのDavid Bier氏が指摘する興味深い文章がありましたので、紹介してみたいと思います。

誤った発表#1:アメリカにいる「移民の割合が史上最高である」

この主張は、真実とはほど遠いです。今日の移民率 (新しい永住者の米国の人口に対する割合)は、過去平均の半分で、しかも記録的な数字を残した20世紀初期の4分の1にしか満たされません。移民数の割合は増えつつありますが、それは前代未聞の移民の増加が原因ではなく、アメリカ人の空前の少子化により、移民の割合が増えているように見えています。

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誤った発表#2:「外国人労働者の流入は、アメリカの賃金を下げている」

新しい労働者が通常より高かったときに、所得すなわち賃金も高い割合で上昇しました。 1981年から33年間、1981年以前に比べて、新しい労働者の伸びははるかに低いレベルになっています。それにより、賃金の増加も低いレベルになっています。労働力が増加すると賃金が下落するというのは事実ではありません。

誤った発表#3:「賃金をあげ、10代の若者を仕事に就かせるためにも、アメリカは低収入の移民の入国をコントロールする必要がある」

トランプの議論は、高校の学歴のない移民は所得を停滞させ、高卒のアメリカ人から低レベルの仕事を奪い、高校生の年のアメリカ人を無職に追い込んでいます。

1981年から大卒の学歴を持たない労働者の数は、移民・アメリカ人共に減少傾向にあります。1981年以降はその割合は16%しかなく、それ以前より34%減少しています。つもり、そういう仕事の競争率はアメリカ人の失業率と直接な関係が見られません。そもそもが、高卒やそれ以下の労働者の割合が30年前に比べて少なくなっています。

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誤った発表#4:「H-1Bビザは、失業を増加させる」

以下の表で示しているように、Computer関連の仕事ではH-1Bは失業率とまったく無関係です。もし、アメリカ人を雇わない代わりにH-1bビザの移民を雇っていた場合、H-1bの労働者が増えるのに合わせて失業者が増えるはずですが、真逆となっているので、この業種ではステータスに関係なく雇用を行っているということになります。

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参照元サイト: The leading immigration law publisher