年内のビザの一時発給停止が決定

トランプ大統領は6月22日にH-1B・L-1などの非移民ビザの発給の一時停止命令にサインをしました。影響範囲は以下の通りです。

H-1B、H-2B、H-4、L-1、L-2、J-1、J-2 の申請者

1)6/22時点でアメリカ国外に滞在している
2)6/22時点で有効なビザを所持していない
3)6/22もしくはそれ以降に有効となるビザ以外の正式な渡航書類を所持していない

以上の3点に該当する方は、12/31までビザの発行は受けられません。

アメリカ国内で手続きを行っている場合には、対象外(発行可)となります。

結婚によるグリーンカードの申請を行っている方も同様で、アメリカ国外で手続きをしている場合は、12/31まで発給はありませんが、
国内で手続きをしている場合には特に影響ありません。

尚、発表では12月31日まで命令は有効であるとしていますが、延長される場合もあります。

永住権を取得するなら今!

申請したら「すぐに永住権が欲しい!」という方がほとんどだと思いますが、
多くの方が恐らくご存知の通り、永住権をサポートする人が
アメリカ人であるか、永住権保持者であるかで、
取得できるまでの期間に大きく差があります。

アメリカ国籍を持っている人と結婚した場合、アメリカの永住権、
すなわちグリーンカードの申請は大変早く済ます事ができるのに対して、
結婚相手がグリーンカード保持者の場合には、必要な書類を提出できるようになるまでに待ち時間があります。

具体的には、まず申請をサポートする人(アメリカ国籍またはグリーンカードを所持している配偶者)がI-130を提出し、優先日を待ってから、
ステータス変更の申請書となるI-485を提出することになるのですが、
サポートする方がグリーンカード保持者である場合、
その待ち時間は月によっても異なりますが、大体2年程かかります。

しかし、なんと!7月と8月は待ち時間がないということが移民局より発表されました!

しかも、まだ結婚されていない方でも8月までに結婚をすれば
対象となりますので、「すぐに永住権が欲しい!」という方は
この機会を是非有効活用しましょう!

↓Travel.State.Govのウェブサイトより抜粋

visa bulletin July 2019

より獲得が厳しくなる移民ステータス

9月22日移民局は、ビザや永住権の申請者が、アメリカの公的扶助を受ける可能性があるかどうかを、ステータスの申請時に同時に審査する意向をウェブサイトに公開しました。

注意:2018年9月28日現在では意向を公開している段階で、まだ法的な効力はありません。

この政策が効力を持つようになると、ビザや永住権の申請者は申請時点でアメリカの公的扶助を受けていない、あるいは将来受ける可能性がないことを証明しなければならなくなります。

この発表によれば、申請者の健康状態、所持財産、学歴などから審査が行われることになるようです。

もし、その申請者が公的扶助が必要になる可能性が高いと移民局が判断すると、申請を却下することができます。

発表の全文がHomeland Securityのサイトでご確認頂けます。
Inadmissibility on Public Charge Grounds

ケースレポート -無免許弁護士、会社売却、移民局上訴を経てのグリーンカード取得

先日、かなり難しいケースを完結することができました。
ここ数年、こんな複雑なケースに出会ったことはありません。
解決するまでにあった色んな出来事は、他の皆様にも役立つと思いますので、お客様の了承を頂きこのブログで紹介させて頂く事にしました。

◆お客様のプロフィール
フィリピン生まれで、カナダの市民権保持者。
13年前にH-1Bを持って渡米し、そのステータスを延長しながらグリーンカードを申請中であった。

==ポイント1==
以前こちらで、ビザブリテンの見方を紹介しましたが、出身地によってグリーンカードの待ち時間が違います。
見て頂くと分かりますが、フィリピン出身者のグリーンカードの待ち時間は、他の国と比べてもかなり長いです。ここで注意頂きたいのは、出身地という点です。
お客様はカナダの国民であっても、実際にはフィリピンで生まれたので、フィリピン人の待ち時間で待つ必要がありました。

当時の待ち時間は約10年でしたので、お客様は同じ弁護士を使ってH-1Bを延長し続け、グリーンカードを待っていました。

◇H-1B有効期限切れる

そして、問題は約3年前に起きました。
当時、彼はA会社で勤めていました。
その頃B会社からお客様に、「H-1Bを出す」、「グリーンカードも移行させる」という事で誘いがきました。しかも給料がかなりアップするという事で、当然ながら心が動いたのです。
お客様は早速自分の弁護士と相談しました。
その弁護士から大丈夫という返事がきたので、お客様は弁護士費用など全て支払うと、移民局に会社変更の申請書を出す前に転職してしまいました。

==ポイント2==
H-1Bの状態で転職する事は可能ですが、必ずその前に申請書を提出する必要があります。但し、移民局から申請書を受け取ったというレシートをもらった後は、結果を待たずに会社を移ることができます。

お客様は何度もその弁護士に催促して、やっと数か月後に申請書が提出されましたが、提出書類が不備で、移民局にすぐ拒否されてしまいました。

その弁護士はずっとお客様に言い訳し待たせ続けました。
そうしているうちに、お客様のH-1Bの有効期間が過ぎてしまいます。
しかし、グリーンカードの順番がきまして、最後のグリーンカードの申請書類を出せる状態となりました。
その時に弁護士から衝撃の事実がお客様に告げられたのです。

実はなんと、彼は弁護士免許がはく奪されていて、約20人もの自分のクライアントに訴訟を起こされていたのをずっと黙っていたのでした。

お客様は半ばあきらめた気持ちでしたが、知人の紹介で当事務所を訪ねられました。
その時に彼の抱えていた問題を整理してみると、

1. 許可なしで、元々申請していた会社ではない会社で働いていること

2. H-1Bの延長をせずに、そのまま期限が過ぎてしまっていること

当事務所はまず、グリーンカードの申請書(I-485)を提出するのと同時に、労働許可を申請し、更に、H-1Bが切れていたので、すぐ働くことを辞めるようお勧めしました。
お客様はI-485の申請には賛成くださいましたが、働かないという事には合意頂けませんでした。
なぜなら、カナダにいる彼の娘さんが重病を抱えており、その医療費用を彼の稼ぎの中から払っていたからです。
せめて、元のH-1Bを出してくれたA会社に戻るという事でケースを受け取ることになりました。

◇サポート会社の売却

A会社は快くお客様を受け入れてくれましたが、その会社と色々連絡した後にまた新たな問題が浮上してきました。
なんと、A会社は他の会社と合併してしまい、もう存在していなかったのです。

==ポイント3==
グリーンカード申請中にサポートしてくれる会社がなくなってしまった場合、申請し直す必要があります。(I-485を既に出した後でしたら、他の会社に移行することができます)
ただそれには例外があり、二つの会社の合併の場合、たとえ会社の名前は変わってしまっても、引き続きグリーンカードを申請する事が許されています。

このケースの場合、A会社の名前は完全になくなり、合併とは言い難い状態でした。
しかもA会社は、その合併に関する書類などを「一切出さない」と、最初からかなり非協力的な態度で、それを聞いて、お客様も諦めの気持が更に強くなり、この時カナダで仕事を探し始めていたという事を後で伺いました。

そんな状況の中、当事務所はI-485の提出を終え、お客様は無事に労働許可を取る事ができたのです。
一見、ケースが順調に進み始めたように見えましたが、この後予期しない展開となります。

◇不正確なステータス情報

お客様の奥様に対して、移民局から追加書類の要請が来ました。
しかも本来なら、メインの申請者に対して届くような内容でした。
すぐさまオンラインで、移民のケースステータスを確認したところ、”その時は”お客様にも要請が出されたと書いてました。

==ポイント4==
オンラインで自分の申請の最新ステータスを調べることができます。
https://egov.uscis.gov/casestatus/landing.do

しばらく経っても、お客様への書類要請書が届かず不審に思いましたので、電話で何回か問い合わせしました。
その答えはまちまちで、出したと言われる事もあれば、出してないと言われる事もありました。
しかもこの時にはオンライン上のケースステータスも変わっていて、要請書を出したという記録が消えてしまっていました。

確実な答えを求めるために、InfoPass(移民関連のPending状況等を確認できるサービス)の予約を取って、お客様と一緒にロスの移民局を訪ねました。
その時にはっきりと「そのような要請は出されていません」と言われ、自分の余計な心配だったのだと思いました。

その後なんと、追加書類を出していないということでケースが拒否されてしまいました。
お客様ともう一度Infopassを取って、ロスの移民局を訪ねた時に、やっとはっきりとした記録をくれました。
やはり、要請は出されていたのです。

◇移民局への上訴

当事務所の助言のもとで、上訴を出すことにしました。

==ポイント5==
移民局の決定に対して不服の場合に上訴するチャンスがあります。その際、I-290Bを出し、費用の$690を支払わなければなりません。
上訴の成功率はかなり低いです。

なんと、数か月かかりましたが、上訴が認められ、I-485の申請を続行することを許されました。

申請を続行できることはかなりいいことでした。
しかし、新しい移民の審査官はかなり厳しい態度を示しました。
ケースが再開したあと、その審査官は色々な問題点を指摘し、それぞれに対して追加の書類を要請してきました。
要請内容も緩やかなものではなく、通さないと既に決めていて、その根拠を固めるために証拠を探しているかのような態度がうかがわれました。
要請されているものは精一杯出しましたが、正直に言うと自分もかなり不安でした。

お客様はその時点で、もう完璧に諦めていて、荷造りまでし始めていました。

そして、ついに先日・・・
彼のグリーンカードが郵便で届きました。約2年続いたケースはこれで円満に終了しました。

長文、最後までお付き合い頂きありがとうございました。

H-1bで解雇されたら・・・

今回は、米国のH1-Bビザを保持していて、ある日突然、解雇された場合、いつまでアメリカに滞在することができるかについてお話したいと思います。

解雇は、移民法上ではH1-Bを失うことを意味します。猶予期間あるいはグレースピリオドなどという言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、実際のところ移民法にそのような期間は定められていません。
しかし、移民局はステータスを失ってからの30-60日内でしたら、他のステータスへの移行を認めてくれる場合があります。但し、認めてくれる「場合がある」だけで、保障はされておりません。
そしてこの手続きは、まさに時間との勝負となります。

前述した通り、法的観点ではH1-Bは解雇されたすぐ後に効力がなくなります。
米国移民局(USCIS)が審査を行う際、一般的に2つの日付を元に失効日を決定する事が多いようです。
一つは給料が発生しなくなった日で、もう一つは最後の給料が支払われる日です。
どちらの日付が採用されるかは、審査官により異なります。

ここで一つ特筆しておきたいのが、この解雇について、移民局は会社から通知がない限り、その事実を知ることができません。
つまり、会社次第で実際の解雇日と報告する解雇日を調整することも可能なのです。
実際に当事務所でも、HR(人事部担当)や関係者に交渉を行い、いくつものケースで、ステータス変更の準備期間を延ばす事に成功しております。

次に、解雇された後に何ができるかについてお話してみたいと思います。

1)履歴書を出し、H1-Bを移行できる会社を探す

2)もし結婚していて、配偶者がF1(学生ビザ)、H1-Bなどのステータスを保持している場合、F2、H4などの配偶者のステータスに変換するための申請を行う

3)F1に変換が可能か学校に連絡し、可能な場合申請を行う

4)米国市民と結婚することで、グリーンカードを申請する(I-130とI-485の提出)

5)Eビザ(投資家ビザ)の申請を行う

6)B-1 / B-2ビザ(観光/短期ビジネス)の申請を行う。但しこれは短期の策で、時間を稼ぐだけの方法になります。

繰り返しますが、法律上で解雇後はすぐさまステータスを失うことになりますので、早急に弁護士と相談することをお勧めします。