年内のビザの一時発給停止が決定

トランプ大統領は6月22日にH-1B・L-1などの非移民ビザの発給の一時停止命令にサインをしました。影響範囲は以下の通りです。

H-1B、H-2B、H-4、L-1、L-2、J-1、J-2 の申請者

1)6/22時点でアメリカ国外に滞在している
2)6/22時点で有効なビザを所持していない
3)6/22もしくはそれ以降に有効となるビザ以外の正式な渡航書類を所持していない

以上の3点に該当する方は、12/31までビザの発行は受けられません。

アメリカ国内で手続きを行っている場合には、対象外(発行可)となります。

結婚によるグリーンカードの申請を行っている方も同様で、アメリカ国外で手続きをしている場合は、12/31まで発給はありませんが、
国内で手続きをしている場合には特に影響ありません。

尚、発表では12月31日まで命令は有効であるとしていますが、延長される場合もあります。

一時的な永住権申請の手続き停止が決定

トランプ大統領は4月22日に一時的に永住権申請の手続きを停止する大統領命令を出しました。
そのため、アメリカの大使館や領事館は永住権やビザの申請プロセスを60日間ストップします。

この申請停止の対象となる方は以下になります。
1.アメリカ国内にいない者
2.4月23日の時点でビザを持っていない者
3.4月23日の時点で出入国許可を持っていない者

但し、この命令は以下の状況には適用されません。
1.アメリカ国内にいる者
2.既に永住権を持っている者(永住権の更新等)
3.アメリカ市民の配偶者
4.アメリカ市民の21歳未満のこども

トランプ大統領命令によりDACA終了

9月5日、トランプ政権はDACA(Deferred Action for Childhood Arrival)というプログラムを6か月後に終了させる旨を発表致しました。
それに伴い、741,546人が労働許可をなくすことなります。

DACAとは、一定条件を満たしている16歳までに不法入国した子供たち(殆どの場合は両親と一緒に)に労働許可を与えるもので、2012年にオバマ元大統領が実行させた制度です。

2016年の6月までに、844,931件の申請を移民局が受け取り、741,546の労働許可を出しました。

今、この制度を存続させられるのは国会のみですが、6か月以内に国会はDACA並の法律を作りあげなければなりません。
しかし、現在税法改正の立法を何とか通そうと必死になっている中で、DACAのような制度を立法化することはかなり困難であることが予想されます。

ドナルド・トランプの間違い

大統領選挙に参加している不動産王のドナルド・トランプ氏(Donald Trump)が先日、彼の移民地位の文書を発表しました。移民はアメリカ人の仕事を横取りして、福祉を乱用し、アメリカ人の賃金を下げているといった話でしたが、彼のキャラクターからこの発言に誰も驚きもしなかった事でしょう。

彼の発表で間違っていた部分を移民政策アナリストのDavid Bier氏が指摘する興味深い文章がありましたので、紹介してみたいと思います。

誤った発表#1:アメリカにいる「移民の割合が史上最高である」

この主張は、真実とはほど遠いです。今日の移民率 (新しい永住者の米国の人口に対する割合)は、過去平均の半分で、しかも記録的な数字を残した20世紀初期の4分の1にしか満たされません。移民数の割合は増えつつありますが、それは前代未聞の移民の増加が原因ではなく、アメリカ人の空前の少子化により、移民の割合が増えているように見えています。

2015,0904-pic1

誤った発表#2:「外国人労働者の流入は、アメリカの賃金を下げている」

新しい労働者が通常より高かったときに、所得すなわち賃金も高い割合で上昇しました。 1981年から33年間、1981年以前に比べて、新しい労働者の伸びははるかに低いレベルになっています。それにより、賃金の増加も低いレベルになっています。労働力が増加すると賃金が下落するというのは事実ではありません。

誤った発表#3:「賃金をあげ、10代の若者を仕事に就かせるためにも、アメリカは低収入の移民の入国をコントロールする必要がある」

トランプの議論は、高校の学歴のない移民は所得を停滞させ、高卒のアメリカ人から低レベルの仕事を奪い、高校生の年のアメリカ人を無職に追い込んでいます。

1981年から大卒の学歴を持たない労働者の数は、移民・アメリカ人共に減少傾向にあります。1981年以降はその割合は16%しかなく、それ以前より34%減少しています。つもり、そういう仕事の競争率はアメリカ人の失業率と直接な関係が見られません。そもそもが、高卒やそれ以下の労働者の割合が30年前に比べて少なくなっています。

2015,0904-pic3

誤った発表#4:「H-1Bビザは、失業を増加させる」

以下の表で示しているように、Computer関連の仕事ではH-1Bは失業率とまったく無関係です。もし、アメリカ人を雇わない代わりにH-1bビザの移民を雇っていた場合、H-1bの労働者が増えるのに合わせて失業者が増えるはずですが、真逆となっているので、この業種ではステータスに関係なく雇用を行っているということになります。

2015,0904-pic4

参照元サイト: The leading immigration law publisher